今日も地質相談室の方からメールをもらって、「石英」「水晶」「斜長石」の判定法について教えてもらいました。
メール③
石英と水晶は、同一の化学組成と結晶構造を持ち、物質としては同じものです。鉱物名でいえば「石英/quartz」。「水晶/rock crystal」は歴史の古い言葉で、多面体の結晶形を現した石英(6角柱はその典型)や、ロックアイスのように透明感がある石英に対して用いてきました。「水晶」は「石英」の部分集合ということになります。
石英は通常の造岩鉱物の中ではもっとも硬く、小刀では傷をつけることができません。石英のエッジでガラスを引っかくと、ガラスに傷が付きます。また、割ると、ガラスに似た不規則な、あるいは貝殻状の断面を見せます。このことが、鑑定の根拠になります。
斜長石は、ナトリウム及びカルシウムのアルミノケイ酸塩鉱物で、基本構造を保ったまま NaSi→CaAlの置換が起こりえます。ナトリウムの多いものを曹長石、カルシウムの多いものを灰長石と呼び、両者の混合比率によって5種類の名称を使い分けます。すべての斜長石には、2方向に平面を作って割れる性質(へき開)があります。へき開面は光をよく反射するため、岩石の破断面に太陽光をあてるとちかちか光って見えます。無色透明~白色半透明である点では石英と似ていますが、へき開を示すことと、石英よりはやわらかいことが鑑定の根拠になります。安山岩には、斜長石の大きな結晶が含まれていることが珍しくありません。
昨日見せていただいた写真では、4x4cmの多角形の物質が唐突に入っていました。安山岩マグマと平衡に晶出したものならば、そこら中に入っていてもよいはずですが、周りは赤みを帯びた細粒の安山岩があるのみです。石英、斜長石のいずれであるにせよ、マグマとは非平衡な捕獲結晶ではないかと感じました。
実際に鉱物を見て触れた感じだと、①非常に堅そうな質感だったこと、②岩石への組み込まれ方が不自然な印象でした。そして、地質相談室の方に教えてもらったことを踏まえ、発見した鉱物は、マグマが地下深くから拾ってきた石英(水晶)であると決めました。
地質相談室の方には、本当に感謝です。またひとつ、登山の壮大なロマンを感じる楽しみ方が増えました。
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これらで登山を科学すれば、登山をさらに楽しく奥深いものにしてくれます。